
ひと口に保険と言っても、生命保険と損害保険がありますよね。その違いって一体何なの?
ざっくり言ってしまうと生命保険は人の命に関する保険、損害保険は物の損害の保険ということになります。今回は、詳しく解説していきたいと思います。
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生命保険と損害保険の違い
生命保険は、人の生存や死亡に関わるような保険で、例えば積み立てていた保険料が、何歳になったら保険金として支払われるとか、万が一亡くなった時に一定額の保険金が支払われるといった保険です。
一方損害保険は、偶然な事故によって起きた損害に対する保険ですので、家や車のような、物に関する損害を補償するものや、賠償責任保険のように偶然他人の物を壊してしまった時や、他人にケガをさせてしまった時に使える保険です。
これらの保険はナワバリがしっかり決められていて、生命保険でしか扱えない分野の商品、損害保険でしか扱えない分野の商品として、完全に分けられています。
傷害保険は両方の会社が扱える商品
生命保険と損害保険では扱える分野の商品が完全に分かれているものもあるのですが、それ以外に、生命保険と損害保険の両方の保険会社が取り扱える保険というものがあります。それが傷害保険、医療保険、ガン保険等の、人の病気やケガに備える保険です。
これらの保険は、人の生存や死亡について扱う生命保険の分野でもあり、また偶然な事故(病気、ケガ)によって起きた損害に対して補償するという損害保険の分野にも当てはまるため、生命保険、損害保険の両方で扱うことができる商品なのです。
ですので、傷害保険、医療保険、ガン保険等に関しては、生命保険会社と損害保険会社の、どちらの保険会社も売ることができます。
傷害保険ってどんな保険?
さて、生命保険でも損害保険でも売ることができる傷害保険とは一体どのようなものでしょうか?傷害って一体どういうものを指すのでしょう?
人が偶然な事故によりケガをして死亡した場合、遺族の生活が経済的に困ってしまうという事態になりますよね。また、死亡しなかったとしても、ケガにより以前と同じように働けなくなってしまったことで収入が減ってしまうことや、治療のために出て行くお金が多くなってしまうことも考えられます。
また、後遺障害が残った場合、本人のみならず、家族にも大きな負担になる場合もあります。
そのような時に傷害保険は役に立つ保険です。傷害保険は人がケガをした時に、死亡したり、後遺障害を負ったり、通院・入院・手術のような医師による治療を必要とした場合に、かかる費用を補う保険です。
傷害の定義とは?
では、どういうケガを傷害と認定するのでしょう?保険会社では「傷害」の定義をハッキリ決めていて、傷害と認めるのに、3つの条件に全て当てはまる必要があるとしています。
〈急激であること〉
急激とは、突発的に発生することをさします。突発的とは、事故からケガをするまで、時間的な間隔がないということです。転んで膝をすりむいたというのは、事故(転ぶ)とケガ(その結果膝をすりむく)ということが事故の直後に起こりますので突発的と言えますね。
逆に突発的と言えない例ですが、靴ずれやしもやけも確かにケガですが、体に対してゆっくりじわじわ影響があったということで突発的とはいえないので、傷害保険の対象にはなりません。
〈偶然であること〉
偶然とは何パターンかあります。
- 原因が偶然→階段で足を踏みはずすなど
- 結果が偶然→走っている時にアキレス腱を断裂したなど
- 原因と結果がともに偶然→道路で転んだところを走ってきた車にひかれるなど
状況として偶然ではないのが、例えば骨折した足でボールを蹴った場合、もともと骨折していた足のケガが悪化することは十分に予期できる結果ですので、偶然とはいえません。
〈外来の事故であること〉
外来とは、体の外からの作用ということです。例えば脳卒中を起こした人が倒れた際に頭を打って死亡したという場合、その人が持っている原因(脳卒中)で転倒したわけですので、原因は外来ではなくその人にあったということになります。
脳疾患で倒れた以外にも、熱中症や貧血で倒れた等、その人固有の身体的な状況によって生じたケガは対象外になる場合があります。
保険はすべての人から公平に保険料をもらうように作られていますので、ケガをする原因がその人にあった場合は対象にならないのです。ケガをした人の体に原因があって起こったケガであると、傷害保険の対象にはなりませんので、十分ご注意ください。
その他免責となる場合
免責とは、保険会社が保険金を支払うことが免れることです。つまり、急激、偶然、外来の3要件に当てはまっていても、対象外になる場合のケガもあります。
〈状況として対象外になる場合〉
- 戦争、内乱、暴動等によって生じたケガ。
- 地震・噴火またはそれによる津波によって生じたケガ
- 核燃料物質もしくは核燃料物質によって汚染された物にまつわる事故等
上記の場合、被害にあう人が広範囲になってしまい、そういう事態を予測して保険料を決めているわけではないので、このような場合によるケガは対象外になります。
〈その人固有の問題で対象外になる場合〉
- 故意、または重大な過失によって生じたケガ(ケンカなど)
- 自殺行為や犯罪行為によって生じたケガ
- 無免許運転や酒気帯び運転をしている場合に生じたケガ
- 妊娠、出産、早産または流産によって生じたケガ
- 危険な運動等(ピッケルを使った本格的な登山や、ハンググライダー等の事故等)によって生じたケガ
- 危険な職業(自転車競走選手や猛獣取扱者、プロボクサーなど)にまつわるケガ
上記の場合、本人の原因によるケガであったり、一般的な人と比べてケガのリスクが高いため対象外になります。
傷害保険は、打撲や捻挫などの軽微なケガから、死亡や後遺障害などの大きなケガまで補償してくれます。何も事故がないのが一番いいですが、万が一の時に備えがあると安心ですね。