バイクよりは遅いけど、自分の力だけで動く、歩くより速く移動できる乗り物、自転車。自転車はバイクと違って、ガソリンのようなエネルギーもいらないし、維持費もほとんどかかりません。そして歩くより楽に速く遠くに行ける便利な乗り物ですね。
しかしながら自転車は、便利で快適な反面、一歩間違えれば人を殺してしまうかもしれない危険な乗り物でもあります。自転車に乗る人が入っておくべき保険とはどのようなものでしょうか？
被害を与えてしまった場合
保険はリスクに備えるためのものですので、自転車に乗ることでどのような危険が考えられるか、ということが保険につながってきます。まず一番に「人にぶつかったら怪我をさせてしまうかもしれない」ということが思いつくと思います。
上り坂ではそんなにスピードは出ませんが、平地ではゆうに２０～３０キロは出ますし、下り坂では５０キロを超えることもあります。
そんな速度で走る自転車が生身の人にぶつかってしまったら、大変な怪我をさせてしまいますし、場合によっては死なせてしまうこともあるかもしれません。たかが自転車でと思われるかもしれませんが、自転車に乗る以上は、その万が一を想定しなくてはなりません。
ニュースでも見たことがある方も多いと思いますが、自転車事故で他人を死傷させてしまった場合、死なせてしまった人によっては何千万円、何億円という賠償を負う可能性があります。
そんな時、「個人賠償責任保険」を使うことができます。この保険は文字通り、個人が賠償する責任を負った時に使える保険です。月額１００～２００円程度の保険料で、国内の事故であれば無制限に賠償することができるという恩恵がえられます。
この保険は人に限らず物への賠償にも使えますので、自転車で停まっている車にぶつかって傷をつけてしまったとか、他人の家の壁にぶつかって壊してしまったという場合にも使えます。自転車に乗る方は、この保険は必須で入っておきましょう。
ご注意いただきたいのが、この個人賠償責任保険は、保険を使う人に故意または重大な過失があった場合に使えないことがあります。他人を死傷させる目的で人をひいた場合等は、偶然の事故ではなく、わざと起こした事故になりますので、補償が得られません。そんな方はなかなかいないと思いますが、十分気をつけてくださいね。
被害にあってしまった場合
自転車に乗っている時に自動車に巻き込まれた等、被害者側になってしまった場合はどんな保険が使えるでしょう。自動車との事故の場合、自分や家族の中で自動車保険に入っている人がいて、そこに弁護士費用特約がついていれば、弁護士を立てる費用が保険から出ます。
自転車と自動車の事故の場合、自動車の方が強い存在のため、自動車側の方が悪いとされるケースが多くなります。
相手が自動車保険に入っていて、十分に賠償してもらえれば弁護士を立てる必要もありませんが、もし相手が保険に入っていなくて賠償をしてくれない場合や、ケガの治療中なのに相手の保険会社から治療を打ち切られそうになった場合など、自分にとって不利益な方向に進みそうになった時に、個人で立ち向かうのは大変だし、手間だと思います。
そういう時は弁護士費用特約が付いていれば安心ですね。
自分のケガの保険
自転車に乗る時、他人のケガや他人の物の破損に備えますが、人や物にぶつかってしまった場合、自分も大ケガを負う可能性は十分あります。軽い接触であれば転倒もせず自分がケガをすることもないでしょうが、予期せぬことが起こるのが事故というものです。転倒した時にコンクリートで頭を打ったり目をぶつけたりして、思わぬ重大なケガを負うこともあります。
そんな時には傷害保険や医療保険が役に立ちます。これはケガで通院したり入院したりした時の保険です。自分が自転車で、自動車に巻き込まれてケガをしたなどという場合は相手自動車の保険で治療費をまかなえるかもしれませんが、人とぶつかって転んでしまった場合や、道路と歩道の段差で転んでしまったなどの単独事故の場合、誰も治療費を払ってくれませんので、自分で自分のケガに備えるしかありません。
自転車で転倒すると割と大きなケガになることもあります。お仕事をされている方は、自分自身のケガの通院や入院の保険に加えて、所得補償のような万が一働けなくなった場合の保険もあれば安心ですね。
まとめ
損害保険では残念ながら、自転車自体の損害をカバーできる保険はありません。盗難などを補償する保険はありますが、走行中などに自転車を倒したり壁などに激突したりして自転車が壊れてしまっても保険金の支払い対象にはなりません。
自分の身を守るため、自転車を守るため、そして他人の命や物を傷つけないために、自転車に乗る時はスマホをいじったり音楽を聴いたりすることなく、交通ルールを守って安全運転を心がけてくださいね。
