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地震保険の支払い方。全損、半損、一部損とは?

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台風で物が飛んできて自宅の窓ガラスに当たり割れたとします。この場合、自宅の火災保険についている風災の補償で、窓ガラスの修理費用から免責金額(自己負担)が引かれた額が支払われます。ですが同じように地震によって窓ガラスが割れた場合はどうでしょうか。地震保険は、「実損額=支払われる保険金」ではありません。では地震保険の支払われ方はどのようなものでしょうか?

【地震保険は全社共通】

実は地震保険は全社共通です。地震保険は国と民間の保険会社が共同で運営している保険で、どの保険会社で加入しても地震保険については補償内容も保険料も同じになっています。(ただし、保険会社によって独自の特約がある場合があります。その場合は独自の特約のみ、その保険会社が定めた保険料になります)地震保険の保険料は、損害保険料算出機構という中立機関が算出した地震保険料立を元に定められています。大規模な地震が発生した場合、その損害額が甚大になることが予測されるため、民間の保険会社だけではなく国が運営に関わることになったのです。 地震保険の予算は2016年7月時点で11兆3000億円ですので、1回の地震で損害保険会社全社の支払い保険金総額がそれを超える場合、支払われる保険金は算出された支払い保険金総額に対する11兆3000億円の割合によって削減される事があります。地震保険は単独で入ることはできず、必ず主となる火災保険とセットで加入します。設定できる地震保険の金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で、建物は5000万円まで、家財は1000万円までとなっています。

【地震保険の支払い方について】

冒頭で述べた通り、地震保険は何かが壊れたからといって、その修理金額を支払うという支払い方はしません。保険をかけている物に何%の損害があったら、保険金額の何%支払うという方式をとっています。今まで地震保険の保険金は支払い方が3パターンでしたが、2017年1月以降始期分より「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4パターンに細分化されました。今まで一部損以上半損未満の場合だと一部損認定、半損以上全損未満の場合は半損認定とされていたものが、細分化されることでより多くの保険金が支払えるよう改正されました。 なお、この地震保険の保険期間の初日が2016年12月31日以前の場合は、この4パターンの支払い方式ではなく「全損」「半損」「一部損」という分け方で、それに該当する場合は保険金額の100%、50%、5%という割合で支払います。地震保険の始期(始まった日)によって変わりますのでご注意ください。

【全損の認定範囲】

「全損」とは、文字だけ見ると「全部が損なわれた場合」のように思えますが、実は違います。「全損」とは建物でいえば、主要構造部の損害額が建物の時価の50%以上になった場合、もしくは消失または流失した床面積が建物の延床面積の70%以上になった場合が全損に当たります。また、家財でいえば家財全体の時価の80%以上の損害で、全損です。(時価とは、保険の対象と同等の物を再築または新たに購入するために必要な金額から、使用による消耗分を差し引いた金額をいいます。)全損になった場合、時価を限度に地震保険の保険金額の100%が支払われます。

【大半損の認定範囲】

「大半損」は主要想像部の損害額が建物の時価の40%以上50%未満、損失または流失した床面積が50%以上70%未満の場合です。また、家財の損害額が家財全体の時価の60%以上80%未満の場合、大半損の認定になります。大半損の場合、時価の60%を限度に地震保険の保険金額の60%が支払われます。

【小半損の認定範囲】

「小半損」は主要想像部の損害額が建物の時価の20%以上40%未満、損失または流失した床面積が20%以上60%未満の場合です。また、家財の損害額が家財全体の時価の30%以上60%未満の場合、大半損の認定になります。小半損の場合、時価の30%を限度に地震保険の保険金額の30%が支払われます。 【一部損の認定範囲】 「一部損」は主要想像部の損害額が建物の時価の3%以上20%未満、全損・大半損・小半損に至らない建物が、床上浸水または地盤面よりの45センチを超える浸水を受け損害が生じた場合です。また、家財の損害額が家財全体の時価の10%以上30%未満の場合、大半損の認定になります。一部損の場合、時価の5%を限度に地震保険の保険金額の5%が支払われます。

【損害認定のされ方】

では実際、どのようにして全損だとか大半損だと決めるのでしょうか。災害の地域が限られていて被害件数も少ない場合、鑑定人が現地に赴き、実際の損害を調べます。建物の基礎や壁にどんな損害があるか、写真を撮ったりひびの長さを測ったりして調査します。被害が甚大な場合は鑑定人の鑑定が間に合いませんので、この地区は一律全損、のように判断されるケースもあります。 建物の損害はそんなにすぐには直さないと思いますので大丈夫ですが、家財のみの契約の場合は鑑定人が来なかったり、来るとしても時間がかかる場合もあります。ガラスや陶器などが割れていたら危ないし、物が散乱している状態でいつまでもいるわけにもいきませんので、そういう場合はなるべく状況がわかるような写真を撮った上、何がどのような状態になったのか記録した上で片付けましょう。

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