日本国内における死因の第一位は、がんです。
「悪性新生物」「悪性腫瘍」とも呼ばれ、発症する部位が多く、また種類によって原因や治療法、予防策は様々です。
そのうえ、深刻な状態になってしまうと治療に多くのお金と時間がかかります。
このような背景から、生命保険の商品の中にはがんの保障に特化した「がん保険」が存在したり、医療保険にがんの保障を上乗せして手厚くするための特約をつけることが出来たりもします。
しかし、がんの一種でありながら、一般にがんと呼ばれているものと保障内容を区別されているものがあります。それが「上皮内がん」と呼ばれるものです。
この上皮内がんとは、一般に呼ばれるがんと何が違うのでしょうか?
上皮内がんとは
上皮内がんとは、文字通り上皮内に出来たがんのことを言います。「上皮内新生物」「上皮内腫瘍」とも呼ばれます。
上皮とは「部位の表面を覆っている部分」で、皮膚(=表皮)や臓器の表面などを指します。
発症しても身体に悪影響を及ぼさないものもありますが、放置をしておくと進行して悪性新生物になってしまうものもあります。
がんの進行度を表す「ステージ」は0期という扱いになっています。
特に上皮内がんの報告が多いのは「子宮頸がん」です。
子宮頸がんは、まず初期段階として「異形成上皮」という、がんではないけれど正常な細胞ではない状態になる場合が多いです。
この異形成上皮は軽度、中等度、高度とあり、高度異形成が更に進行してしまうと、上皮内がんに変化します。
がん(悪性新生物)との違いは?
悪性新生物は、悪性の腫瘍が上皮よりも深い部分にある「基底膜」より下層にまで浸透してしまっているものです。
基底膜には血管やリンパ腺が通っているため、がん細胞がそこに達してしまっていると、がん細胞を切除した後でも血管やリンパ腺を伝って転移をしたり再発してしまったりします。
病状が進んでしまっていると、がんが出来た部位ごと取り出すなどの大きな手術が必要になってしまうこともあります。
切除の他には、抗がん剤治療や放射線治療が悪性腫瘍の治療法としてはメジャーなものです。
悪性新生物の治療における難点として、転移や再発による治療期間の長さと、それらも含んだ大きな治療費が挙げられます。
また、抗がん剤は強い効力を持つ反面、副作用も大きくなってしまいがちです。
日本では医療費をある程度国が負担してくれますが、治療の内容によっては自費で負担しなければならない「先進医療」の場合もあります。
上皮内がんの場合、上皮には血管やリンパ腺が通っていないので他の部位に転移してしまうことは殆どないと言われています。
治療方法も、抗がん剤治療や放射線治療などの身体に負担がかかるような方法は基本的に必要がなく、上皮内がんの出来た部位にもよりますが、主な方法はレーザーや内視鏡手術で切除するような簡単なものです。
入院期間も部位によっては最短で1日、つまり日帰り入院・手術で対応できる場合もあります。
また、組織を完全に切除した後は再発する可能性も低く、ほぼ完治させることが可能です。
治療にかかる期間が短いため、かかる治療費も悪性腫瘍と比較すると安めになります。
保険における上皮内がんの扱い
悪性新生物は治療に大きなお金がかかることが多いため、その保障として大きなお金を用意する必要がありますが、かかる治療費も死亡率も悪性新生物と比べて低い場合がほとんどである上皮内がんは、最近の保険商品でも悪性新生物と保障内容に差があることが多いです。
しかし、実際どのような差があるかは、商品ごとに異なります。
例えば「がん、または上皮内がんと診断された時にまとまった保険金が出る」というような保障において、がんも上皮内がんも同じ保険金額の商品もあれば、上皮内がんの時はがんの保障の半分の保険金しか支払われない商品もあります。
また、上皮内がんが保障の対象外となっている場合もありますので、加入を検討している方は保障内容をしっかりと理解した上で選ぶことをおすすめします。
まとめ
上皮内がんについてのお話は以上です。いかがでしたでしょうか?
主要なポイントを箇条書きでまとめると、
☆上皮内がんはがんの初期状態で、死亡率は低い。
☆がん(悪性新生物)と比べて治療に掛かる負担も期間も費用も少なめなことが多い。
☆それゆえに、保険では悪性新生物より保障が少ない場合もある。
となります。
がんは早期発見をして早く治療をしてしまうことが重要です。だからこそ、初期段階の上皮内がんもちゃんと保障されていて、安心して治療にのぞめる保険に入っておきましょう。