みなさんはテレビで自動車保険のコマーシャルを見たことがありますか?
画面をよく見ると、保険料を出している時に小さく、「20等級の場合」などと書いてありますね。これが自動車保険の等級です。
では、この等級とはどんな意味を持つのでしょう?
何等級から何等級まであって、どうすると上がったり下がったりするのか、この等級が保険にもたらす効果などを見ていきましょう。
保険料はどうやって決められる?
はじめに、保険料とはどうやって決められるのか知っていますか?
実は保険における保険料とは、「リスクの高さ=事故の起こりやすさ」で決まってきます。
事故が起こりやすいとか、事故が起こった時に損害が大きくなりやすいなどという時に、保険料は高くなります。
なぜなら保険は損害があった場合に、損失に備えるために作られた制度だからです。
保険では、たくさんの人がお金を出しあって共有の財産を作り、実際に災害や事故によって損失があった人に対して、貯めてあるお金から保険金として損失を補償します。
そのため、あらかじめリスクが高いとわかっている人は、保険金を受け取る可能性が高いので、その分保険料が高くなるのです。
保険とは、入っている人がみな平等になるように作られているため、例えば火災保険であれば、鉄筋の家より木造の家の方が保険料は高くなります。それは実際に火事があった場合、鉄筋の家より木造の家の方が燃えやすく、損害額が大きくなりやすいためです。
このように、保険は入っている人の公平性を保つように作られています。
自動車保険の等級について
では自動車の場合はどうでしょう。自動車は家と違って、材質が違うということはほとんどなく、一般的な自動車は鉄でできていますよね。
ですから自動車の場合は主に、車種によって決められている「料率」と、表題の「等級」の二つで保険料が変わります。
自動車保険の等級は1等級から20等級まであり、等級によって保険料が変わります。しかし、新規で自動車保険に加入した場合、1等級からのスタートではなく、6等級からのスタートということになります。
この等級は、1年間事故がなかった場合に、更新のタイミングで1等級上がります。ということは、6等級からスタートした場合、20等級になるまで最短でも14年かかるということですね。
6等級の時は20%ほどの割引ですが、20等級にもなると60%程度の割引を得ることができます。
ちなみに1等級になってしまった場合は逆に60%程度の割増保険料になりますので、保険料はかなり高くなります。
前述した通り、保険は公平性を保つようにできているため、事故を起こす可能性の高い人(新規で自動車保険に加入した人や、事故を起こして等級が低い人)は保険料が高くなりますし、何年も事故を起こしてない人は事故を起こすリスクの低い人として保険料が安くなるのは当然のことですね。
新規で加入した場合は6等級からのスタートといいましたが、家族の中で11等級以上の自動車保険がある時に、もう一台追加で自動車保険に加入した場合、「複数所有新規」という制度があり、7等級からスタートすることができます。
これは保険会社的には、「5年以上無事故の人が増車する=まるっきり新規の人に比べて事故率が低いのでは」と判断されるため、優遇措置として通常より1等級進んだ状態から保険をスタートさせることができるのです。1年間分お得ですね!
この制度は2台目以降の自動車に適用されることから、「セカンドカー割引」なんて呼ばれたりします。
等級はどうすると下がる?
1年間無事故だった場合は1等級上がるといいましたが、当然下がることもあります。それは事故などで保険を使った場合です。
事故の中には1等級しか下がらない事故と、3等級下がる事故があります。 どんな事故が3等級下がって、どんな事故は1等級しか下がらないかは別の記事にて記載しているので、そちらを参考にしてください。
ここではどんな事故が何等級下がるかということについては述べませんが、とにかく事故を起こしてしまった時には、今後事故を起こす確率の高い人として、保険料が高くなってしまいます。
また、事故を起こして等級が下がった場合、同じ等級でも割引率が変わります。例えば事故がなくて9等級から10等級に上がった人と、事故を起こしてしまって13等級から3等級下がって10等級になってしまった人とでは、同じ10等級でも割引率が違います。
これは一度事故を起こしてしまうと、今後事故を起こす確率の高い人として保険会社が判断するためです。
今ではほとんどの保険会社がこの制度を導入していて、事故を起こした後の割引率の下がった等級のことを「事故あり等級」と呼んだりします。
この事故あり等級は、下がった等級の数に応じて、1等級ダウン事故であれば1年間、3等級ダウン事故であれば3年間、事故あり等級として通常より低い割引を適用することになります。
1年間に3等級ダウン事故が3回あったとしても、事故あり等級を適用するのは最長6年です。ただし、事故あり等級があと2年という時にまた3等級ダウン事故を起こすと、事故あり等級を3年上乗せして5年適用することになりますのでご注意ください。
事故をたくさん起こして等級が1等級などすごく悪い状態になってしまった時、新規で入った時の6等級に戻すまでに、1等級からだと5年もかかります。
じゃあ一旦解約して保険を入りなおせば、自動車保険は6等級からスタートだから、そうした方がいいじゃない!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそのデメリット逃れができない仕組みになっています。
保険は公平に保険料をもらう仕組みですので、事故を起こして悪い等級を持っている人は新たに6等級で保険に加入することはできません。
中立の機関がそれを監視していて、本当はデメリット等級を持った人が同じ自動車で再契約をしようとした場合、保険会社に連絡がくるようになっています。
これは保険会社を変えてもわかってしまいます。悪いことはできない仕組みになっているのですね。
まとめ
等級についての説明は以上になりますが、ポイントをお伝えします。
- 自動車保険は等級によって保険料の割引があり、通常は6等級から始まって20等級まである。
- 等級は1年間無事故であれば1等級進み、事故を起こすと事故の種類に応じて等級が下がる。
- 事故を起こした場合の等級は、事故あり等級としてデメリットの割引になる。
最後になりますが、7等級以上の自動車保険を解約した場合、その後10年間等級を引き継ぐことができる制度があります。
解約をする際に「中断証明書」を取っておけば、もう一度自動車を購入した際に進んだ等級からまた保険をスタートさせることができますので、ぜひこちらも利用してくださいね。