「生命保険に入ったけれど、実際には殆ど使わないのに保険料ばかり払っている…。」
そう思っている方は多いのではないでしょうか。
実は、生命保険に入っていると「保障を受けられる」以外にもメリットがあるのです!
それは「毎年の所得税と住民税の負担が軽くなる」ということ。
今回はこの「生命保険料の控除制度」について、ご紹介します。
どんな制度なの?
生命保険料控除制度とは、生命保険に払い込んだ1年間の保険料を所得から差し引かれる制度で、所得税控除のひとつです。
国民が納税する「所得税」は、この所得金額を元に計算されるので、控除されればその分所得税や住民税の負担を減らせるのです。
なぜ控除の対象になるのかと言うと、多くの人たちが自費で生命保険に加入し準備する「亡くなってしまった時の遺族に遺すお金」や「老後の生活の資金にする為のお金」は、本来国が援助するものなのですが、現状、必要としている国民全員に十分な援助が出来ているわけではありません。
ですので、自費で保障を用意する代わりに、国に納税する金額をある程度控除するという特別な措置を設けているのです。
どんな内容なの?
控除される種類(控除区分)は、「一般生命保険」「個人年金保険」、そして平成24年1月1日以降に契約された「介護医療保険」の三つになります。
「一般生命保険」に当てはまる保険は、死亡・高度障害時に保険金が支払われる死亡保険などです。
「介護医療保険」に当てはまる保険は、入院や手術、通院をした時に保険金が支払われる商品です。具体的には、介護保険や医療保険、がん保険が当てはまります。
ただ、注意すべきなのは、死亡時の保障と入院、手術などをした時の保障または介護状態になった時の保障が、ひとつの主契約や特約になっているもの。一般生命保険と介護医療保険が一緒になってしまっている状態です。
この場合は
・死亡保険金額が、入院給付日額の100倍を限度とする場合
・死亡保険金額が、「既にお支払いされた保険料累計額」または「保険料積立金の額」のいずれか大きい額を限度とする場合
・死亡保険金額が、がんに罹患したことまたは常時介護を要する状態となった場合に支払われる保険金額の20%を限度とする場合
以上の三つの内一つでも条件を満たす場合のみ、介護医療保険控除の対象となります。
もし一つも当てはまらなければ、一般生命保険控除として申請をします。
また、この二種類は、保険金の受取人が「契約者かその配偶者、または六親等以内の血族か三親等以内の姻族」である契約が対象となります。
「個人年金保険」については、個別に詳細な条件が設けられていて
・年金受取人が契約者またはその配偶者のいずれかであること。
・年金受取人は被保険者と同一人であること。
・保険料払込期間が10年以上であること(一時払は対象外)。
・年金の種類が確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること。
・「個人年金保険料税制適格特約」が付加されていること
以上の五つに当てはまる個人年金保険になります。
もしひとつでも当てはまらないものがあった場合でも「一般生命保険控除」の条件が満たせていればそちらの区分になります。
条件が沢山設けられていて複雑に感じますが、個人年金保険控除については基本的に保険証券に記載されています。
ですが、もし分からない場合は、保険証券を持って、保険代理店やお近くの保険ショップに相談すると教えてくれます。
また、配当金がある保険については、配当金額を差し引いた払込保険料額が対象になるので注意が必要です.
申請の方法は?
では、生命保険料控除制度を受けるにはどのようにしたらよいのでしょうか?
申請のタイミングは「年末調整」または「確定申告」です。
必要となるものは、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明」という書類です。
毎年10月頃に送られてきますので、年末調整や確定申告の時期までとっておきましょう。
もし無くしてしまった場合は、保険会社や代理店に連絡をすれば再発行してもらえますが、日を要することもありますので、気が付いたら早めに連絡することをおすすめします。
年末調整の場合
会社にお勤めの方が行うものです。この場合は、控除申請書に「生命保険料控除証明」を添付するだけでOKです。
もし毎回のお給料からすでに保険料が天引きされているなら、控除証明の添付は必要ありません。
また、年間の給与収入が2000万円を超える場合は、年末調整だけではなく、確定申告も行う必要があります。
確定申告
自営業やフリーランスの方、また年末調整で生命保険料控除の申請をし忘れてしまった方などは、確定申告を行います。
確定申告時に、控除対象となる生命保険料を記入します。もし書類提出で確定申告をする場合は、書類に「生命保険料控除証明」を添付して提出します。
電子申告システム(e-tax)を利用して確定申告を行う場合は、控除証明の添付はしなくても問題ありません。
これらは所得税の手続きになります。所得税の手続きをしていれば、住民税の控除手続きなどは必要ありません。
まとめ
以上が生命保険料控除の紹介になります。
少々ややこしいこの制度、そして申請方法ですが、支払うべき税金の額を減らせる機会に面倒くさいと思ってやらないのはとてももったいないです。
保険料も年間の支払額となるとやや大きな額になりますから、是非ともこの制度を利用して負担を減らしておきましょう!
(引用・参考:生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」 住友生命「H24/1生命保険料控除制度改正のお知らせ」)