段差につまずいて転んで膝をすりむいたり、料理中に熱いお湯がかかってやけどしてしまったり、自転車で転んで骨折をしてしまったり・・・
日常生活において、ついうっかりケガをしてしまうことってあると思います。骨折であればもちろん保険金を請求するでしょうが、打撲や捻挫のようなちょっとしたケガでも保険を使うことはできるのでしょうか?
「ケガ」と認めるための三大条件
傷害保険では、ケガとして認定するのには、三つの条件に当てはまる必要があります。それは「急激」、「偶然」、「外来」の三つです。これってどういうことなのでしょう?
急激とは?
「急激」とは、文字通り、急に起こったということです。急に起こるというのは、例えば段差につまずいたとか、お湯がかかったその瞬間です。
あ!と思った瞬間にケガをしてしまった時、これを急激といいます。では、急激ではないケガはどういうものでしょう?
〈よくある急激ではないケガの例〉
- 長年野球でピッチャーをしていて、徐々に肩を痛めてしまった場合。
- 趣味でテニスをしていて、ストロークを繰り返すことで肘を痛めて、テニス肘になってしまった場合。
- マラソンをした次の日に膝が痛くなった場合。
- 新しい靴で歩いていたら靴擦れを起こしてしまった場合。
- ホットカーペットの上で寝ていて低温やけどになってしまった場合。
- ゴルフのスウィングの練習をしていたら腱鞘炎になってしまった場合。
- 雪遊びをしていたら凍傷(しもやけ)になってしまった場合。
- 長時間草むしりをしていたら、腰が痛くなってしまった場合。
これらも病院に通うような状態ではありますが、ゆっくり時間をかけてそういう状態になってしまったという時点で、急激という条件から外れます。傷害保険では突発的に起こった事故によるケガでないと、支払いの対象にはなりません。
偶然とは?
次に「偶然」ですが、これは事故が起こる可能性がもともと高くなかったかということになります。例えば転んで腕を骨折してしまった時、普通の人であれば支払い対象になります。
しかし、普通の人が転んだら打撲や捻挫等ですんだものが、骨粗しょう症であったため骨がもろいので骨折したということになると、その骨折は偶然ではなくなります。その人は骨粗しょう症の時点で、普通の人に比べて骨折するリスクが高いのです。
また、もともと足を骨折した人がボールを蹴ったことで症状が悪化した場合、折れた足でボールを蹴ったらもっと悪くなることは明白なので、それは偶然ではないということで保険金の支払いの対象にはなりません。
あくまで階段を踏み外したとか、段差につまずいた等の、たまたま起きた予測できない事故が保険金支払いの対象になります。
外来とは?
外来というのは、外から来た事象によってケガを負ったことということになります。
これはどういうことかというと、つまずいて転倒して頭を打った場合は外来による事故ですが、心臓発作を起こしたことによって倒れた時に頭を打ったという場合だと、自分の病気が原因で倒れたということになりますので、外来からの事故にはなりません。
これを「病理先行(びょうりせんこう)」といいます。熱中症や貧血によって倒れてケガをした場合も同様です。
自分の病気が原因で倒れた場合は、自分が持っている原因によって倒れてケガをしたということですので、外来には当たらないのです。あくまで外から来た原因によってケガをした場合に保険金が支払われます。
まとめ
上記の三条件が満たされれば傷害保険は支払い対象になります。
打撲や捻挫等の軽いケガであっても、この三条件を満たして通院をした時は傷害保険の支払い対象になりますので、通院した時は保険会社に報告しましょう。