近年急増している「少額短期保険」をご存知ですか?
初めて聞く方は、「少額」や「短期」と付いているだけに、少し心もとない保険に感じてしまう方もいるかもしれません。
名前の通り、一般的な保険とは少し異なるこの保険。少し知っておくと保険選びの際に選択肢がぐっと広がるかもしれませんよ。
では少額短期保険とはどういった保険なのか、一緒に見ていきましょう!
Contents
そもそも少額短期保険ってどんな保険?
少額短期保険とは、2006年4月の保険業法改正時に作られました。誕生してから約10年しか経っていない新しい保険なのですね。
火災保険や医療保険、ペット保険など人生を支えるものから、コンサートチケットや旅行時のお天気にかけるユニークなものまで様々な商品がありますが、全商品共通しているのは一般的な保険よりも「少ない額」を「短い期間」保障する保険ということです。
そのことからミニ保険とも呼ばれたりします。
少額短期保険のある会社って?
平成29年4月3日現在で登録されている業者数は、89社です。
(一般社団法人 日本少額短期保険協会HPより)
保険業法の規則に則り、資本金1000万円以上やソルベンシー・マージン比率(保険会社に様々なリスクが訪れた際に保険金などを支払っていける余力を数値化したもの)が200%以上であることなど規則をクリアしなければ少額短期保険を取り扱うことは出来ません。
この少額短期保険会社の規則自体は、一般的な生命保険会社と比べると低い基準となっています。
あんしん生命を一例として挙げると、資本金は550億、ソルベンシー・マージン比率は3,329.4%(2016.12末)なので、少額短期保険会社は規模が小さいことが分かりますね。
また、一般的な生命保険と損害保険の保険会社には「契約者保護機構」というセーフティーネットがあります。
これにより、万が一保険会社が破綻した場合でも保険金は80~100%の割合で補償されるようになっています。(保険種類により割合は異なります)日本国内で営業する全ての保険会社はこの保護機構に加盟しなければなりません。
しかし、少額短期保険会社はこちらの加盟対象外になります。
その代わりに、契約者保護の観点から少額短期保険業者は供託金を法務局へ供託することが義務付けられてはいますが、破綻した時のリスクはあることも頭に入れておきましょう。
そして、少額短期保険会社は、生命保険と損害保険の取り扱いを同時に行うことが出来るのも一般的な保険会社とは異なるところです。
バラエティにとんだ組み合わせの加入が出来ることもポイントですね。
補償の中身は?保険期間は?
前述したように、少ない金額をかける少額短期保険はかけられる金額の上限も決まっています。
以下、一被保険者にかけられる保険金額。
- 死亡保険(病気)・・・300万円以下
- 医療保険(入院)・・・80万円以下
- 損害保険・・・1000万円以下 など
こうして見てみると、死亡保障が300万円以下など小さい保障となっていますね。
また、少額短期保険の保険期間は生命保険が1年、損害保険は2年以内です。保険期間が短いため、こまめな見直しが出来るのも大きな魅力の一つです。
少額短期保険のメリット◎
- 豊富な商品の中から選べる
少額短期保険の魅力は何と言ってもその商品種類の幅広さです!
他社との棲み分けを図るため、各社消費者の痒い所に手が届く商品を日々売り出しています。
商品例
損害保険 |
葬儀・婚礼参列者傷害保険、痴漢冤罪保険、 自転車盗難保険など |
生命保険 |
糖尿病保険、シニア入居者向け保険、介護保険、不妊治療中でも入れる医療保険、自然分娩も対象の医療保険など |
その他 |
ペット保険、チケット保険、お天気保険など |
- 手頃な保険料
保険期間が短いこともあり、保険料は全体的にお手頃な設定になっています。少ない掛け金で保障が欲しい方にとっては、とても助かりますね。
- 足りないところに手が届く
今現在加入している保険の補充という形で、足らない部分を補う事も出来ます。
例えば、単独で加入できない地震保険も少額短期保険ならば単独で加入することが可能です。
- 障がいをお持ちの方も加入できる
少額短期保険会社の中には、ダウン症や統合失調症、パーキンソン病など緩和型の生命保険の加入が難しい方を対象とした商品を販売しているところもあります。
「6ヵ月以内に手術や入院をした」「10年以内のガン・肝硬変になった」など簡単な3つの告知に該当しなければ引受可能となっています。
- 見直しがし易い
1~2年という保険期間なので、こまめに見直しがしやすく、その時の自分に合ったものに加入することが出来ます。
大きな買い物というイメージが強い保険にとって、この気軽さはありがたいですね。
少額短期保険のデメリット△
- 更新ごとに保険料が上がる
短期間の保険期間で加入しやすい反面、保障を継続させる場合はその時の年齢に応じて保険料は上がっていきます。
終身保険だと、契約時の年齢の保険料のまま一生変わらないので、この点はデメリットかもしれません。
- 控除の対象外
毎年、年末調整のために提出する控除証明書ですが、少額短期保険は残念ながら控除の対象外となります。
少額短期保険会社は、生命保険会社とは別の保険業として区分されている為、控除の規定には当てはまらないためなのですが、少ない掛け金とはいえ知っておかないと少し損した気分になってしまいますね。
まとめ
デメリットもあるけれど、やっぱり魅力的な少額短期保険!
良い所と注意点をよく見極め、自分の目的に応じてより合った商品を選んでいきましょう。